2014/02/24

伝送交換主任技術者 専門 無線

 電波伝搬について
 
 10GHz帯以下のマイクロ波帯の電波伝搬に最も影響を与える現象は、大気屈折率の時間的・空間的変動である。大気屈折率nは通常1.0003程度で、その変化は10-5~10-6オーダーであり、非常に小さい。従って、その変化を明瞭にするため、N=(n-1)×106で得られる屈折指数Nが用いられる。このNは大気圧P、気温T及び水蒸気圧(湿度に関係)PWの関数である。

 地表の空気は、一般に、海抜が高くなるほど希薄になり、湿度も気温も低下する。標準大気における大気屈折率は、高さの増加ととも減少する。このような大気の層が、地表面上に球面層状に構成されている場合における電波の進み方についてはスネルの法則により定量的に表すことができる。地上の任意の地点から放射された電波は地表の曲率より緩やかな曲率で地表に近づく方向に曲がりつつ伝搬する。このとき、伝搬路を直線で表すため、一般に、我が国を含む中緯度地域においては等価地球半径係数KとしてK=4/3を用いる。

 大気屈折率は、気象条件によって変化する。大気の状態が、標準大気とは異なる状態になると、電波の曲がり方も、標準大気におけるものとは異なったものとなるため、受信点への電波の届き方が変化し、受信電界強度の低下などが生じ、フェージングを引き起こしたりする。

 電波通路について

 地上高h[m]の地点における見通し距離DL [m]は、次式で与えられる。ただ
し、障害物及び地上の起伏は無いものとする。DL≒ √2Kah

 マイクロ波帯アンテナについて

 マイクロ波帯アンテナの性能を表す主要なパラメータは、利得、指向性、インピーダンス、交差偏波特性などである。

 アンテナの利得は、電波を放射したい方向に、どれだけ放射できるかを示すものであり、対象となるアンテナの放射したい方向における電力密度と、それと同一電力を給電されている等方性アンテナの同一距離における電力密度の比と定義され、単位はdBiで表される。
 
 アンテナの指向性は、放射電波の強さを放射方向の関数として表したもので、極座標で表すと木の葉(lobe)に似た形となり、最大方向を主ローブ、周辺をサイドローブという。主ローブの放射電力が最大値の半分になる角度範囲を半値角といい、その大きさは、マイクロ波帯円形開口面アンテナの場合、開口径と波長の比に係数(60~90程度の値)を乗じたものとなる。
 
アンテナと給電点でのインピーダンスが不整合となっていると、反射が発生し、放射効率低下の一因となる。給電点における入射波と反射波の比を表す反射係数Γは、特性インピーダンスZ0の給電線に負荷インピーダンスZℓのアンテナが接続されている場合、Γ=Zℓ-Z0/Zℓ+Z0で表される。

 アンテナの交差偏波特性は、直線偏波における水平と垂直、円偏波における左旋と右旋という直交する二つの偏波に異なる情報を乗せて送受信する場合に重要となる。送信偏波と同一の偏波である主偏波と、それに直交した偏波との受信電力の比を交差偏波識別度といい、値が高いほど偏波間の干渉が小さくなり多値化された信号でも分離しやすくなる。

 オフセットパラボラアンテナは、軸対称パラボラアンテナと異なり、一次放射
器によるブロッキングが発生しないだけでなく、一次放射器が水平方向を向かないよう配置することにより、水平面内広角指向性を改善できるという特徴がある。
 オフセットパラボラアンテナは、鏡面の非対称性により、直線偏波では、交差
偏波特性の劣化が避けられないが、オフセットカセグレンアンテナ及びグレゴリ
アンアンテナは、交差偏波消去条件を満たすことにより、この劣化を改善できる。
 オフセットパラボラアンテナは、鏡面の非対称性により、円偏波では、左旋偏
波と右旋偏波の主ビームのピーク方向が互いに逆方向に偏移する現象が生ずる。

 角錐形ホーンアンテナにおいてホーンの長さを一定にして、開口角を増加させていくと、開口角がある大きさのときに利得が最大になる状態がある。この利得が最大になった状態のホーンは、最適ホーンといわれる。
 角錐形ホーンアンテナは、放射特性が詳細にわかっているため、マイクロ波、ミリ波帯アンテナの放射パターン測定用プローブ、又は利得測定の基準となる標準アンテナとして用いられる。

 複反射鏡アンテナには、主反射鏡に回転放物面、副反射鏡に回転楕円面を用いたカセグレンアンテナや主反射鏡に回転放物面、副反射鏡に回転双曲面を用いているグレゴリアンアン
テナがある。

 移動体通信においてマルチメディアサービスを提供するためには、信号伝送速度が数Mbit/s以上の高速伝送が求められ、それに伴って伝送帯域幅も数MHz以上の広帯域伝送が必要となる。
 現在、日本で普及しているCDMA方式のデジタル移動通信システムの1搬送波当たりの無線伝送帯域幅は、CDMA2000の約1.25MHzとW-CDMAの約5MHzの2種類である。
 高速・広帯域伝送を実現するには、無線伝送帯域幅が数MHzに及ぶ場合の受信電界強度や伝搬遅延特性などの広帯域伝搬特性を考慮することが必要である。

 高速・広帯域の電波伝搬においては、様々な方向から反射、回折してくる電波の(ウ)の分散が伝送品質に大きな影響を与える要因となり得るが、CDMA方式ではRAKE受信を用いることにより改善することができる。陸上の移動体通信では、移動機のアンテナ高は、一般に、数m以下と低く、無線基地局と移動機間の見通しは、建物などによって遮られ、伝搬路の特性は時々刻々と変動する。

 無線基地局から発射された電波は、建造物などで反射、透過、回折などを繰り返して受信点の移動機に到達する。このとき図1に示すように、様々な経路によって移動機に到来する電波の伝搬遅延時間を横軸にとり、各到来波の受信レベルを縦軸にプロットしたものは、遅延プロファイルといわれ、図2に示すAからEの反射、透過、回折などを受けて到来する電波の伝搬路は、その経路を示すという意味でパス(Path)といわれる。

 計算

開口面アンテナの開口効率


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